「シズコさん」―母と娘の静かな葛藤私は実は本を読むのが早いです。 薄いものなら、3冊くらいは2時間くらいで 読んでしまう。 ところが、この本はなかなか進まなかった。 とても読みにくかったのです。 すいすい読める内容ではなかった。 佐野洋子さんは『100万回生きた猫』で有名な 絵本作家さんです。 でも、この小説は彼女のイメージを 変えてしまうかも知れません。 ただ、一生懸命、正直な自分を伝えようと されていて、何度も切ないを越えて、 苦しくなることがありました。 母が好きになれない娘。 佐野さんはその一人です。 子供が親を好きになれないには、 なれない体験があるのです。 慈しまれ、愛されていたら、 そうはならない。 佐野さんもそういう思い出を持った子供でした。 その思い出はどこか 私自身の思い出に重なるものがありました。 文中でフロイトをひいて、 父と息子の葛藤は触れられているが、 母と娘は何も触れられていないという 部分がありました。 確かに、母と娘はあまり語られてないかも。 摂食障害が問題になったときに、 その問題が取り上げられたことはありましたが。 佐野さんがこの本で、 その母と娘の葛藤を癒している気がしました。 母に寄り添い、母の老いをみつめながら、 ストイックなまでに自分の想いを観察し、 それが「ゆるし」と呼べる瞬間を見つめます。 そして、最後まで自分を観察する目をゆるめず。 母の死を通して、今度は自分自身の死をみつめます。 その揺るがなさ、安易な感動にまとめてしまわない、 透明なことばが、より大きなところへと 私たちを連れていってくれるような気がします。 一つの物語が、深く深く心の奥に 語られたと感じました。 ぜひ、読んでください。 特に、母を好きになれない娘たちに。 そんな自分を責めてやまない娘たちに。
by laetitia-takako
| 2010-10-09 19:58
| 日記
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